ホームコートアドバンテージ神話の検証――ホームは果たして有利なのか――
どうもaoiです。
今日はNBAホームコートアドバンテージについてスタッツを観ていきたいと思います。
一般的にアウェーよりホームのほうが有利だとされています。特にNBAだと移動に伴う疲労や気候の違い,食事の違い,就寝環境の違い,観客のブーイング,レフェリーの笛,などなどホームが有利でアウェーが不利だと考えられる要素は多々思いつきますね。
実際,自身のバスケットボール経験を顧みても(部活レベルですが)大会2日目に自チーム以外は全て開催地区の学校だった時はやりにくかった思い出があります。
では,ホームとアウェーの影響はどの程度スタッツに表れているのか確かめていきたいと思います。なおデータは基本的にNBA.com (http://stats.nba.com/teams/traditional/)
から取得したレギュラーシーズン(16-17)のスタッツを使用しています。。
まずは,ホームとアウェーでの勝率を比較します。これは全チームのホーム・アウェーの勝率の平均です。
やはりホームでの勝率がアウェーでの勝率よりもいいですね。どちらも試合数は41試合ずつなので,6試合程度ホームの勝ち数が多いようです。
この差は統計的に意味がある差なのか,それとも偶然生じた差なのかを検証したいと思います。
対応ありのt検定を行うためにまず正規性の検定(コルモゴロフ–スミルノフ検定)を行います。この検定の場合,帰無仮説は「正規分布している」です。
検定の結果両データ(末尾Hがホーム,Aがアウェーデータ)とも正規性が認められました。t検定の結果,p < .001 で有意であると分かりました。
やはり,ホームでの勝率が高いようです。
勝率以外の他のスタッツではどうでしょうか。各指標のホームでの平均値-アウェーでの平均値を見てみましょう。
個人的にツボなのはフリースロー成功数(FTM)ですね。ゴール裏での必死の妨害はもはやアウェーのお約束となっている(?)と思いますが,統計上では,差は1本も無いんですね(笑)。
また,フリースロー試投数(FTA)やファール数(PF)も1回程度の差しか認められないので,全体的に見るとレフェリーの偏りというものもさほど見られないですね。
特に目を引くのは得点の差ですね。ホームではアウェーよりも平均で3点程度得点が高くなっていることが分かります。FGM,3PM,FTMの差から大体3点程度であることが確認できます。標準偏差が大きいのが気になりますが,ここはH-A=3点差としたいと思います。ただこの3点の評価は難しいところですので,参考のため昨シーズン全1230試合の点差を求めてヒストグラムを作成しました。
データ取得元land of basketball.com (http://www.landofbasketball.com/results/2016_2017_oct_scores.htm)
結果としては,最終スコアが6点差以内であった試合は全体の32.6%(401試合)でした。このデータにはH/Aの影響が含まれているので割引く必要がありますが,それでも±3点という点数は,勝利に(そしてプレイオフ争いに)それなりの影響を及ぼすように考えられます。
ただ,必ずすべての組み合わせでH/A行われるので得点差は相殺されるように思われますね。そこで各チームで平均得点の差を出してみました。
かなりチームによってH/A得点差に相違があることが分かります。特にラプターズは昨シーズンはホームで強く,アウェーで弱かったことが分かります。逆にネッツやグリズリーズなどはホームよりもアウェーでのほうが,平均得点が高いことが分かります。
この差がどうして生じるのか新たな疑問ですね。ファンの秘密があるのか,プレイヤーの精神的なものなのか,また調べたいと思います(どうやって)。
個人的に思いつくのは地理的な要因です。H/Aの効果が強く効くのは点差が小さい→実力が近い相手だと考えられます。年間81試合の内所属カンファレンス,ディビジョンによって対戦回数はチームによって異なることから,試合回数が多い同ディビジョンまたは同カンファレンス多ディビジョンのチームの実力と自チームの実力差がH/Aのスタッツ差に現れるんではないかな…とここまで来て思い始めています。これについては追って確認してみたいと思います。
ここまで,H/Aの差について取り留めもなく書いてきましたが,個人的にはホームコートアドバンテージがプレイや勝敗に及ぼす影響については懐疑的な人間ですが,今回ホームは多少有利に働くことが再確認できたかなと思います。